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離婚コラム

はじめに

一言で記者・ライターといっても、新聞社に従業員として勤務している場合もあれば、ネットメディアに記事を提供している個人事業主という場合もあり、さまざまな場合があります。新聞記者の年収は比較的高く、大手なら年収1000万円を軽く超えることも多いようです。また、ネットメディアのライターも、人気記事を次々生み出せる方だと非常に高い収入を得ていることがあります。

仕事の特質上、勤務時間が不規則で深夜まで帰宅しなかったり、国内・海外を問わず頻繁な出張があったりというのはよくあることです。妻の立場から見ると、家事を手伝ってもらえず、一方的に育児を押し付けられていると感じ、不満が溜まってしまう可能性があります。記者・ライターやその妻が離婚を考えた際に直面しがちな特有の問題について、以下で解説していきます。

記者・ライターが家事・育児を手伝わない。これは離婚原因になる?

すぐに離婚原因になるわけではありません。

記者・ライターである夫が家事・育児を手伝わないからといって、それがすぐに離婚原因になるわけではありません。仕事や家事・育児について、夫婦がお互いに納得したうえで分担してきたのであれば何の問題もないからです。ただ、その点で夫婦の意見の食い違いが出てきているのなら、きちんと話し合って双方の不満を解消する必要があると言えるでしょう。

離婚原因とはならなくても、離婚できない(orしなくていい)わけではありません。

離婚原因=離婚裁判の要件

離婚原因というのはあくまで裁判離婚を認めてもらうための要件です。離婚原因がない場合でも、話し合い(協議・調停)がまとまれば離婚は可能です。言い換えれば、離婚原因がない場合でも話し合いや協議による離婚は可能です。

離婚原因がなくても、事実上のプレッシャーによって離婚できる(or応じざるを得ない)ことは、よくあります。

例えば、「記者・ライターである夫には不貞などの離婚原因に当たりそうな事情がなく離婚を拒んでいるが、妻は強く離婚を望んでいる」という場合を考えてみます。離婚原因がない以上裁判離婚は認められないのだから、夫が話し合いでの離婚を拒めば離婚にはならないと思われるかもしれません。この考え方は確かに真実を含んでいますが、そこで安心するのは早計です。

なぜかと言うと、どうしても離婚したい妻は、話し合いの段階から、様々な事実上のプレッシャーを夫にかけてくる可能性があります。①協議や調停の段階から夫へ不満をあげつらう(家事をしない、出産の見舞いにも来なかった、オムツも代えたことがない、…)ことはもちろんのこと、②別居に踏み切って夫に婚姻費用分担請求をする(収入が夫>妻なら、離婚するまでは婚姻費用を支払う義務が夫にあります)、③手続き自体によるプレッシャー(調停や裁判となると、妻から意向を伝えられた調停委員や裁判官から離婚に応じる方向の説得がなされることも珍しくありません)、これら様々なプレッシャーに負けて夫が離婚に応じる方向に傾くことは、かなり多いのです。

したがって、離婚原因がない場合でも、①離婚したくない夫としては、妻の言い分を適当に聞き流すような対応をするのではなく、最初からきちんと妻と向き合って話し合うことが重要です。逆に②離婚したい妻としては、夫に対しプレッシャーを掛けて離婚に応じさせるべく手続きを進めていく余地は、十分あるのです。

記者・ライターの財産分与

夫婦どちらの名義であれ、夫婦共同で築き上げたものを清算するのが財産分与です。特に新聞社記者の場合、株式や投資信託など投資に熱心なことも多いですし、比較的多額の退職金が支払われる場合もあります。個人事業主のライターの場合、退職金の代わりに小規模企業共済などに加入していることがあります。

退職金

大手新聞社では退職金が数千万ということもあります。現実にはまだ受け取っていなくても、夫婦共同で築き上げたものといえるなら財産分与の対象となります。最近の調停実務では、勤務先で退職金規程が整備されており退職金の額を客観的に算定できるという場合であれば、40代くらいの方でも退職金が財産分与の対象として扱われることが多いです。

小規模企業共済

個人事業主などの経営者が事業を廃止する時の生活資金等に充てるために積み立てておく共済です(退職金の代わりになります)。掛金全額が所得から控除されるという節税メリットがあるため、加入している人は少なくありません。

記者・ライターの養育費

ライターの収入の変動は?

特に個人事業主のライターの場合、収入が安定しておらず変動が大きいことがあります。このような場合、過去数年分の年収を平均したり途中で養育費の額を見直す条項を入れたりすることがあります。

養育費について話し合いがまとまらないようなら裁判官が訴訟等の手続きで判断することになります。判決や審判が出されると債務名義となり(調停調書も同じく債務名義となりますが)、これに基づいて強制執行も可能になります。一度調停や訴訟・審判で決まった額からの増額・減額を求めるには、当時予見されなかった事情変更が必要となります。そのため、支払ってもらう側・支払う側双方とも、自分に有利になる事情を可能な限り拾い上げて、審判に備えることが必要です。

記者・ライターとの離婚手続き

仕事で忙しく協議がなかなか進まないとか、取材で出張が多く調停期日に出頭できない、ということもよくあるようです。

別居+婚姻費用分担調停申し立て

上記の例の離婚したい妻の側からいえば、このような場合どうすればいいのかというと、「別居+婚姻費用分担調停申し立て」を進めるのが効果的になるでしょう。婚姻費用分担調停も夫が多忙であることを理由に全く出頭しないような場合は、裁判官が審判の形で婚姻費用額を決めてくれます。そうすれば、夫が婚姻費用を支払わない場合でも、給与の差押えなどの強制執行も可能になるからです。

離婚したくない夫の側からいえば、婚姻費用が審判で決定されてしまうとかなりのプレッシャーになってしまいます。というのは、妻が家を出て夫婦生活の実態もないのに毎月ある程度まとまった金額を離婚するまで支払わされるからです。したがって、婚姻費用が審判となった場合は、婚姻費用額が不当に高額とならないよう、自分に有利となる諸事情をきちんと主張し、裁判官を説得する努力が必要になります。

出ていった妻が離婚に応じなくなることも

婚姻費用を支払ってもらいたいから

妻が別居して婚姻費用が決まった後、妻が離婚拒否に転じることがあります。妻の立場からは、離婚すると婚姻費用がもらえなくなるので、別居しつつ婚姻費用を受領する、という状態を継続すること望む場合があるからです。

婚姻費用減額の可能性

妻としても、婚姻費用だけで生活するのは厳しいため、婚姻費用を決めた後に働き出して収入を得ることもあります。その場合、当初、妻の収入をゼロとして算定した場合は、婚姻費用の減額を求める余地があります。

離婚訴訟

調停で同居を求め、妻が拒否する場合は、それを理由に離婚訴訟を提起するなどして解決を目指すのもひとつです。勝てるとは限りませんが、離婚の方向で和解できる可能性もあります。

離婚訴訟は公開法廷で行われます。

離婚調停は第三者には非公開ですが、離婚訴訟は特別の事情がある場合を除いては公開の法廷で行われます。すなわち、夫婦本人や証人を尋問(=事情を直接聞くこと)する場合も、第三者がこれを傍聴できるということになります。

特にあなたや相手方が記者・ライターとして著名である場合には、夫婦間のプライベートな争いを傍聴されてしまう可能性があります。訴訟をどうしても避けたい場合、訴訟になる前に話し合いをまとめざるを得ないでしょう。逆にいえば、そのことが妻にとっての交渉材料になりうる可能性もあることになります。

まとめ

記者・ライターは多忙で家事をこなせないという場合もありますが、そのこと自体がただちに離婚原因になるわけではありません。
もっとも、特に離婚原因がない場合であっても、離婚を希望する側としては例えば「別居+婚姻費用分担請求」をする、離婚調停で調停委員や裁判官から説得してもらうというような事実上のプレッシャーを掛けていくことが可能です。なお、別居のメリット・デメリットについてはリンク先をご参照ください。

仮に話し合いがまとまらず離婚裁判となると、公開法廷で行われるため当事者尋問や証人尋問を第三者に傍聴される可能性があります。記者・ライターとして著名である場合には、その点にも注意しておいたほうがよいでしょう。

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