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離婚コラム

はじめに

離婚後の生活が不安だという方も多いかと思いますが、離婚後に受けることができる手当や公的支援などの有利な制度が数多く存在しています。お金の面だけでなく、それ以外にも子育てや住まいなどで支援を受けられることがありますので、離婚後の生活の準備の一つとして制度の概要を知っておきましょう。

なお、一言で公的支援といっても、国として行っている制度もあれば地方自治体独自の制度もあります。以下で取り上げている内容は東京の場合を念頭に置いていますが、同様の制度が神奈川、千葉、埼玉など他の自治体でも定められていることがあります。そもそもどのような支援制度があるのか、あるいはご自身が支援を実際に受けられそうかどうかなどについては、お住まいの自治体の窓口(具体的には区市町村役場や福祉事務所など)に相談して確認するようにしてください。ご自身で色々な情報収集を進めることで、離婚後についての心構えができ、気持ちの準備もできてきます。

お金に関連する支援

離婚後にもらえる公的手当は?

児童扶養手当

児童扶養手当法に基づく国の制度です。ひとり親家庭(母子家庭、父子家庭)の生活の安定、自立促進のために支給されるものです。
父母が離婚した子どもにつき(厳密にはそれに限られませんが)、①母がその子を監護している場合は母に、②父がその子を監護しかつ生計を同じにしている場合は父に、支給されます。

金額は、子ども一人&全額支給で月額42,290円です(平成29年4月分より)。もっとも、税法上の扶養親族の数に応じた所得制限が設けられていますし、父または母の死亡につき支給される公的年金等を子どもが受け取れる場合などは支給されません。

注意点として、いったん受給できたとしても、働くことが困難な事情がないにもかかわらず、働いたり就職活動をしたりして自立に向けた取り組みをしていないような場合などは、支給停止となってしまいます。

ちなみに、片方の親が児童扶養手当を受けているからといって、もう片方の親の扶養義務が軽くなるわけではありません(児童扶養手当法2条)。

児童育成手当

東京都福祉保健局のホームページでは「各区市町村が条例を設置し実施している事業です。(都制度)」と紹介されています。

この手当は、子どもの心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給されるもので、育成手当と障害手当の2つがあります。台東区では育成手当は子ども一人につき月額13,500円とされています。子どもに所定の障害がある場合(身体障害者手帳1、2級程度など)の障害手当は、月額15,500円とされています。

医療費助成

父母が離婚した子どもが18歳になって最初の3月31日までについて、健康保険証を使って医療機関にかかった場合、保険診療にかかる自己負担分の全部または一部が助成されるという制度があります(ひとり親家庭等医療費助成)。

貸付制度

母子・父子福祉資金の貸付制度では、父母の収入や生活費収支内訳から返済可能かどうか、貸付が自立につながるかどうかなどの審査を受けた上で、貸付を受けることができます。

貸付のメニューとしては、例えば事業開始資金(事業を開始するために必要な設備費等の貸付。貸付限度額は原則285万円、返済期間7年)や就学支度資金(私立大学に入学する場合では貸付限度額59万円、返済期間20年以内)など、多彩なものが用意されています。

生活保護

健康で文化的な最低限度の生活を保障するための制度です。自分の収入、資産や親族からの扶養などをもってしても最低限度の生活水準を確保できないという場合に支給されるものです(離婚した場合に限られる制度ではありません)。

その他

児童扶養手当対象世帯、生活保護世帯については、JR通勤定期の割引や、都営交通の無料乗車券発行という支援が受けられます。

子育てなどの生活支援

ひとり親家庭ホームヘルプサービス

離婚後のひとり親が家事・育児などの日常生活に困るときに、ヘルパーを派遣してもらえる制度です。台東区では年間120時間まで、港区では月12回までといったように、細かい要件や利用時間などの詳細は区市町村によって異なっています。

独自プログラム

台東区は「バスレクリエーション」として春秋に日帰りバスハイクを実施しています。また、港区は「ひとり親家庭休養ホーム」制度として、親子のリフレッシュを目的に、指定日帰り施設を無料あるいは低額料金で利用できる利用券を発行しています。中央区の「ひとり親家庭休養ホーム」制度では日帰りに加え宿泊も可能とされています。このように、自治体によっては独自のプログラムを実施しているようです。

都営住宅の優遇抽選

都営住宅の抽選において、ひとり親世帯は当選率が7倍になることがあります(乙優遇)。

母子生活支援施設

母子を保護して自立を支援するための入所施設です。平成10年の児童福祉法改正前は「母子寮」と呼ばれていました。母子支援員から色々な問題について相談・指導を受けることができます。

離婚後実家に戻るときは所得制限に注意!

主にお金に関する支援制度について所得制限が定められていることがあります。所得制限を超えるかどうかの判定にあたっては、同一生計(=収入と支出、財布が共通ということ)にある者全員について検討されることになります。同居家族がいる場合は原則的に同一生計と判定されることになっていますので、所得制限に引っかかる可能性が高くなってしまうでしょう。

まとめ

離婚の準備として、離婚後の生活を具体的にイメージできるまでよく検討しておくことが重要であることは、離婚の準備①のコラムで述べました。準備・検討していく中で、養育費などの離婚後の金銭面や、面会交流にとどまらず現実の子育て面などが不安になってくることは当然のことです。

このような不安に応えるために国や地方自治体は、離婚後の生活やひとり親を支援するために様々な手当や各種支援などの施策を定めています。まずはお住まいの自治体や福祉事務所の窓口に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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