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離婚コラム

はじめに

最近では共働きの夫婦も非常に多くなってきています。ところが、「家事や育児については専ら妻の担当で夫は協力してくれない」という家庭もあるようです。
もちろん、共働きといっても労働時間や収入が異なることも多いですので、家事も育児も何でも全て等分でというのは現実的ではないことも多いでしょう。夫婦お互いが納得して分担の形を決めているのなら何の問題もありません。
しかし、例えば夫婦二人とも正社員としてフルタイムで働いているのに、夫は全く家事も育児も協力してくれないというのでは、妻が結婚生活に疑問を感じるのももっともでしょう。

このような場合、妻から離婚することはできるのでしょうか。財産分与や親権はどうなるのでしょうか?

離婚を求め続けることが一番重要です。

夫が離婚を拒否したら?

夫が話し合いによる離婚を拒む場合、離婚原因がなければ裁判離婚を認めてもらうことができず、結果としてその時点では離婚ができないということにはなります。
もっとも、それはあくまで夫が話し合いによる離婚を徹頭徹尾拒否する場合のことです。離婚原因がなくても、夫が最終的に離婚に応じれば、離婚できます。
したがって、まずは話し合いの段階で、離婚に応じてもらうことを目指すことになります。それでも夫が離婚に応じない場合は、状況にもよりますが、別居に踏み切った上で婚姻費用の請求をするのも選択肢の一つです。

そもそも、共働きの夫が家事も育児もしないことは離婚原因になるの?

「婚姻を継続し難い重大な事由」と言えるかどうかという問題です。

「婚姻を継続し難い重大な事由」がある、ということは、すなわち、婚姻関係が破綻して回復の見込みがない状態があるということです。裁判所が「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無を判断する際に最も重視するのは、客観的な破綻状態があるか(≒長期の別居期間があるか)ということです。
妻の離婚意思が固いことは、回復の見込みがないことの考慮要素の一つですが、それだけでは裁判離婚は難しいといえます。もっとも、裁判官は、離婚裁判中に和解を勧めることがよくあります。妻の離婚意思が固い場合は、裁判官が「妻がここまで強く離婚を希望しているのだから・・」と離婚を前提とする和解を提案してくれる可能性もあります。また、別居期間が短い場合でも既に別居している事実があれば、裁判官が、今後も別居生活が継続していずれ離婚原因が認められる状況になりそうだと考え、夫に離婚に応じる方向で話をしてくれる可能性もあります。したがって、別居期間が短い段階でも、裁判上の和解を狙って離婚裁判を提起する場合もあります。
以上より、夫が家事も育児もしないからといって、それだけで「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる可能性は小さいと言えますが、別居期間など他の要素をプラスすれば、裁判で離婚できる可能性もあると言えます。

話し合いで離婚に応じさせるためにはどうすればいいの?

まずは離婚意思が固いことを認識させましょう。

夫婦間で離婚協議をしようとしても取り合ってもらえないことがよくあります。そのまま放置してしまうと、結局本気で離婚するつもりはないのだろうと高を括られ、ますます離婚から遠ざかってしまうこともあります。
あなたの離婚意思が固いことを夫に認識させるには、離婚調停を申し立てたり、弁護士を通じて離婚を請求するなど、それなりの行動を起こすことが大切です。

別居すべき?

別居と婚姻費用請求

あなたの年収よりも夫の年収が高い場合であれば、別居したうえで婚姻費用分担調停を申し立てることで、夫に対して経済的なプレッシャーを掛けることが可能です。夫としては、夫婦の実態もないのに婚姻費用だけを支払わされる形になるので、婚姻継続を諦めて離婚に応じる可能性があります。

同居時と同じ生活水準を保てる?

同居時の状況にもよりますが、別居すると家賃負担なども生じますので、婚姻費用をもらっても生活水準を下げざるを得ない可能性があります。
したがって、予め、算定表ではどれくらいの婚姻費用が認められそうなのか、その金額と自分の収入で生活できるのか、子どもを育てていけるのか、自分の収入を増やせそうなのか等々をよく考えたうえで別居に踏み切る必要があります。
婚姻費用は支払う義務があるものですが、非常に不誠実な対応をする夫もいるので、できれば、婚姻費用がなくても生活できるようにしておくことが望ましいです。別居後、やはり生活が厳しいからもとに戻りたいと考えても、夫に鍵を変えられてしまったり、同居を拒否されてしまい、戻れないという可能性もあります。

共働き夫婦の財産分与

原則として、妻名義の財産も財産分与の対象です。

夫婦それぞれの特有財産は別として、夫婦共同で築き上げてきた財産といえるならば、どちらの名義であっても財産分与の対象となります。

例外的に、それぞれの固有財産となることがあります。

夫婦それぞれが作家、画家として活動し、婚姻後もそれぞれが自分の収入や預貯金を管理していたというケースで、各個人名義の財産はそれぞれの名義人のものになるという夫婦間の合意があるとされ、したがってこれらは財産分与の対象とならないとされた裁判例があります(東京家裁平成6年5月31日審判)。
この裁判例をどこまで一般化できるかは難しい問題ですが、そのような判断がなされたケースがあるということも踏まえて検討する必要があります。

親権は取れる?

監護の継続性の点で有利です。

親権者争いにつき、審判という形で裁判所が判断する場合、子どもの福祉にとってどちらが良いのかという観点から判断されます。あなたが専ら育児を担当してきていたのであれば、その形を継続する方が子どもにとって負担が少なく、子供の福祉に資すると判断される可能性が高いため、その点では有利になります。
もっとも、離婚したくない夫が、本心では自分一人で育児をするのは無理だと思いつつ、あえて親権を主張して争って来ることもあります。また、夫が、一方的に子供をとられた上、養育費まで支払わなければならなくなること抵抗を感じて、親権に固執することも珍しくありません。そのような場合は、最終的には審判に持ち込めば妻が親権者と指定される可能性がありますが、夫の対応次第では、油断はできません。ただ、親権を正面から争うのは大変な作業なりますし、精神的な負担も大きくなります。話し合いの段階で、夫に対して、時間をかけて争っても双方の利益にならないことを説得し、それでも夫が折れないなら、審判に持ち込むしかないでしょう。

まとめ

働きながら一人で家事育児を負担するのは本当に大変です。共働きであるにもかかわらず夫の協力がない、または少ないことについて、不満を感じている妻の数は非常に多いと考えられ、これが原因で離婚に至るケースも少なくありません。
ただ、夫が離婚に応じない場合、家事や育児を手伝わないことだけでは離婚原因として認められる可能性が低いですので、今すぐに裁判離婚を認めてもらうのはハードルが高いと言わざるを得ません。
しかし、離婚する方法がないわけではありません。離婚したいのなら、離婚を求め続けることが最も重要です。その際には別居に踏み切ることも選択肢の一つですが、これについては別居のメリット・デメリットについての別コラムもご参照ください。
あなたが離婚を決心したのなら、子供のことや経済的なことも考えた上で、計画的かつ着実に手続きを進めていくことが必要です。

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