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離婚コラム

はじめに

相手方が離婚に応じなかったり、条件面で合意できないなどの理由で離婚協議がまとまらない場合には、家庭裁判所の離婚調停を申し立てるのが一般的です。離婚調停だと費用が非常に安く済むことも大きな理由の1つです。

一方で、世の中には「離婚ADRをやります」と謳うさまざまな団体があります。ADRというのは「裁判外紛争解決手続き」のことですが、調停ではなく離婚ADRをやることで何かメリットはあるのでしょうか。離婚調停を申し立てるより有利に進められることがあるのでしょうか?

ADRって?

ADRというのは「Alternative Dispute Resolution」の略で、「代替的な紛争の解決方法」という意味です。何の代替かというと裁判の、です。例えば交通事故紛争処理センター(紛セ)、東京弁護士会の紛争解決センター、東京三弁護士会の金融ADRなどがあります。

このコラムでは民間の離婚ADRについてご説明します。以下を読んで頂くにあたっては、離婚ADR=「裁判所以外の民間業者が提供する話し合いの場で、夫婦が離婚について話し合う手続き(※)」とイメージしてください。たとえば上に挙げた東京弁護士会の紛争解決センターでも離婚ADRを取り扱っていますが、弁護士会以外にも扱う団体はあります。

(※)ちなみに法務省のHPでは、「話し合いによって解決することができる民事上の紛争について、その当事者を仲介し、和解の成立に向けて調整を行う手続であって、民間事業者が行うもの」と簡潔にまとめられています(民間紛争解決手続の定義。「かいけつサポート」HPを参照)。

離婚ADRを使うメリット・デメリットは?

以下のようなメリット・デメリットがあると考えられます。しかし結論をいえば、離婚調停の代わりにできるほどのメリットはないと感じる方が多いのではないでしょうか。

メリット

土日にも話し合える

離婚調停が行われるのは平日(朝~夕)だけです。ちなみに一回の調停で2時間程度、場合によってはそれ以上拘束されます。

離婚ADRは土日でも可能なところがあるようです。どうしても平日に会社を抜けられないといった方にとっては、メリットになるでしょう。

離婚調停ほど混んでいないかも?

裁判所にもよりますが、離婚調停の件数は多いです。調停を申し立てても第一回目まで日にちがかかることもあります。二回目以降の調停も通常は約1か月後に入りますが、場合によっては1か月~2カ月後になることもあります。

離婚ADRの場合、より柔軟なタイムスケジュールを組めることもあるようです。

デメリット

費用が高い

離婚調停を申し立てる費用は、収入印紙1200円+予納郵券1006円です(東京家裁の場合)。婚姻費用分担請求などが加わると多少費用が追加されますが、それでも大した金額にはなりません。調停の回数が増えたからといって費用がかさむわけでもありません(裁判所までの交通費は別ですが)。

民間の離婚ADRでは、話合いの回数が長引けば費用も増える、ということもあるようです。

離婚ADRでは調停前置したことにならない(※)

法律上、離婚訴訟の前に離婚調停をしておかなくてはいけないという決まりがあります(調停前置主義)。家庭裁判所の離婚調停と民間の離婚ADRは全く別物です。「離婚ADRをしたがまとまらないため離婚訴訟を提起したい」という場合、結局は、その時点で離婚調停での話合いからスタートせざるを得ないことになりますので、二度手間になってしまいます。あなたが使いたい離婚ADRではどういう扱いになるのか、事前にその団体に確認しておきましょう。

(※)裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第5条による法務省の認証を受けた離婚ADRで、和解が成立する見込みがないことを理由に手続きが終了した場合については、改めて調停をしなくてもよいことになっています。ただし、離婚訴訟を受け付けた裁判所は、「適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付することができる」とも定められています(同法27条)。

すぐに強制執行できない

離婚調停の中で例えば養育費の額を決めた場合、もし支払われない場合には、調停調書に基づいて強制執行ができます(ex.給与の差押え)。

離婚ADRの中でお互いが合意した養育費が払われない場合は、そのまま強制執行することはできません。したがって、いざという時の実効性に欠けるというデメリットがあります。

離婚ADRを使ったことがある人の感想は?

離婚ADRを申し立てられたことがある、というご相談者が何人かいらっしゃいました。当事務所では離婚ADRを使ったことはないので、どんな感じなのか聞いてみたところ、「担当者が申立人の意見ばかり気にして、こちらの意見をなかなか聞いてもらえなかった」という人もいれば、「申立人がすぐに取り下げてしまい、出席した意味がなかった」という人もいました。もちろんこれらはあくまで個人的な感想にすぎませんので、「離婚ADRのおかげで弁護士に依頼せずともうまく離婚できた」という方もいらっしゃるかもしれません。

まとめ

離婚ADRと一口にいっても、扱う団体は弁護士会であったりそれ以外の団体であったり、様々です。双方が同意しており、離婚条件についてもほとんど争いがないような場合は、離婚ADRによって早期解決ができるかもしれません。

しかし離婚自体もしくは離婚条件で意見の相違があるような場合、離婚ADRで解決できなかったからと言って、一部の例外を除いて、いきなり離婚訴訟を提起することはできません(正確に言えば提起自体はできますが、離婚調停に付されてしまいます)。その場合、結局離婚調停を行う必要が生じますので、費用と時間をかけて離婚ADRをした意味がほとんどなくなってしまうことになりかねません。

一方、離婚調停には、費用が安く、万が一相手方が養育費などを払わなかった場合の実効性が高いというメリットがあります。したがって、離婚ADRのメリットは、土日など、平日の日中以外の時間帯に話し合いができることぐらいかもしれません。また、離婚ADRを使う場合は、せめて法務省の認証のあるところにしておくことをお勧めします(かいけつサポートHPを参照)。

なお、離婚ADRにしても離婚調停にしても、結局は、話し合いの場と仲介者は提供されますが、誰かがあなただけの味方になってくれるわけではありません。また、直接の仲介者は必ずしも法に精通しているわけではありませんので(弁護士会のADRならともかく)、結果的にあなたにとって不利な方向に進んでしまう可能性も否定できません。

したがって、後悔のない離婚を目ざす場合は、最初から弁護士をつけて相手方と離婚協議を行い、まとまらなければ調停を申し立て、状況によっては離婚訴訟となることも辞さないという態度で進めるほうが、良い結果につながることが多いと考えられます。弁護士をつければ、あなたと相手方との状況を分析しつつ、最初から戦略的に動くことによって、最良の結果を目指すことができるはずです。

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